【脱髄疾患CIS闘病記】第10話 大きな決断

リハビリ記
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やあ~!

ステロイドパルス療法が終了するころから、左の麻痺側に改善の兆しが見えてきました

今日はその後の続きのお話しです


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これはわたしの過去の体験です

ちょっとした物語と思って読んでいただければ幸いです


ステロイド大量投与後のMRI


2020年11月30日

入院10日目


ステロイドパルス療法終了後、再びMRI検査をすることに

入院してから幾度目かのMRI

もうあの大きな音にも慣れてきた

そして、今は首が痛くないのでゆったりとドームに入っていられる…ありがたい


リハビリが始まったおかげで、起き上がりや車椅子移乗の時に自分で支えられる場面が増えてきたので看護師さんの介助の負担も少し減った様子

最初を知っている方々にベッド柵を持って寝返りしたり、介助してもらいつつも自分の足で少し体を支えながら車椅子に乗る姿を見てびっくりされる 笑

本当に少しのことであるが、出来ることが増えるのは本当に嬉しい

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MRI検査の結果、脊髄内の病変の悪化はないとのこと

体の動きには改善が見られるので、あの真っ白なものが少しでも減っているかと思ったけれどそこまで大きくは変わっていない…


劇的ビフォーアフターを期待していたので、ちょっぴり残念 笑

でも、5日前のステロイドパルス前は画像上でも、炎症が広がっていたのを思うと「悪化していない」という事実はとても嬉しい


とりあえず、症状の悪化は止まった…

むしろ動きは改善している…

画像上の変化はあまりなかったが、画像も身体症状も共に これ以上悪くならないことを願う


逡巡の結果


入院してから ずっと考えていること

髄内腫瘍疑いのための手術…

東京か浜松へ行くか…

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腫瘍であれば一時しのぎに、脱髄であれば治療になると言われたステロイドパルス療法

思いのほか効果が見えるので、腫瘍である可能性は薄くなっている?かもしれないな…とも思う

どのみち、生検をしないことには確定診断は難しいと説明も受けている

生検をするだけで、今温存されている機能のどこかは失うという

手術をするとなると…髄内の神経を触ったり失うことは十分に考えられる

現在ある左側の麻痺や排尿排便機能の停止、右側の感覚異常に加えて さらに出来ないことが増える…


治療の手だてがあるということは有り難い

だけど…

そこまでして、わたしは生きたいのだろうか…

自分自身に質問する


「わたしは、どうしたいのか?

どうがいいのか?」


正直、動かなかった左手足が少し動くようになっている今 もうこれで十分と思う気持ちが強い

左の機能が十分に使えなくても…


今は 右手足が使える

今は 目が見える

今は 言葉が話せる

今は 耳で聴くことができる

今は 相手の発した言葉を頭で理解できる


残ったものもたくさんある

今の機能がある状態で、少しでも家族と一緒の時間を過ごしたい


たとえそれが短かったとしても…

それでいい、それがいい


手術はしない

東京へは行かない

病気と共に生きて行こう


自分の中で答えが出た

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決断


2020年12月1日

入院11日目


ちょうどその決心ができた時、作業療法士さんが部屋を訪れてくれた

いつものよう寝たきりでガチガチの背中や強張った手のリラクゼーションをしてくれる

その間、決心に至るまでの一部始終の話をぽつりぽつりと話始めていた


「よく自分と向き合いましたね

 そしてよく決断されましたね

 くまままさんを応援しています」

全てを話し終えると作業療法士さんは そう言ってくれました


話を聴いてもらったら、自分の気持ちを客観的に見ることが出来た気がする

「聴いてくれて ありがとうございます

 先生に話す予行演習ができました

 先生にも伝えてみます」

わたしはそう言って にっこりしました


あんなに逡巡していた気持ち

腹が決まるとあっさりさっぱりしている


後に先生が診察に来てくれた時に思い切って伝える

「先生、お話があります

 かくかくしかじか・・・

 なので、手術はしません

 東京の病院へは行きません

 病気と共に生きていきます」


途中からは、なぜか泣いていた

・・・・・


先生は少し難しい顔をしてこう言った

『「病気と共に生きる」とはどういうことかな?

 前も話したけれど、例え生検をするとなっても脳の一部などあまり体に影響のない部位でやれる可能性もある

 あなたはまだ若いのだから、今後出来るかもしれない可能性があることまで「しない」と 今 決めてしまう必要はない


確かに、そうだなあ・・・

今後可能性があることまで、今決めなくてもいいのかもしれない

先生の言葉で、そう思う

そして、とりあえず 自分の意思を伝えられたことで一つ置けた気がした


先生からは、

現時点で原因は不明であること

ステロイドパルス療法後明らかに症状の改善が見られること

このまま症状の改善が続けば生検せずにすむこと

もし、症状改善が伸び悩むようであれば 今後の治療方針をまた考慮する必要があること

しばらくは、リハビリと薬剤治療を続けていく

という説明を受けました


今のわたしに出来ることは「リハビリ」のみ!

毎日出来うる限りリハビリを頑張ろう!

そう決意する


涙多し


2020年12月2日

入院12日目


先生に話した時もそうだったけれど、最近なんだか涙が出る

不意に感情を持っていかれる感じ

何が悲しいのかも、自分でもよくわからない

ずっと泣いてばかり


自分では頑張ろうと気丈に振舞っているつもりだが、周りには表情が硬く暗く見えている様子

急に無気力になったりもする


うつ状態…


これがステロイド大量投与の副作用かあ…


薬のせいだと分かっていても、感情に振り回されることにとても疲れる…

感情の波がきたら「風が吹いてきた~」と思うようにして身を任せてじっと待つことにする

そんな苦肉の策でなんとか乗り切ろうとする日々

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この間、看護師さん、リハビリの方々、心理士さん、先生、イモコ…

色々な方々に話を聴いてもらう

皆さん、丁寧に話を聴いてくれる

言葉と涙を出しては少し落ち着く

そんなことを繰り返していたように思う

薬の副作用でもこうなのだから、普段でも「聴いてもらう」「話す」「聴く」ということの重要性を感じる今

何気ない会話でも、聴いてもらって楽になった~ということはよくある

いや、日常の中の何気ない会話こそ、大事に聴き合いたいなあと思う

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くまままの脱髄疾患闘病記、ここからはリハビリに集中する日々が続きます

ステロイドパルス療法とリハビリの両輪で回った入院生活でした

闘病記と統一してありますが【リハビリ記】も綴っていきたいと思います

合わせてお読みいただければ幸いです

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最後まで読んでくれてありがとう

今日も素敵な一日を


追記:わたしが脱髄疾患(clinically isolated syndrome:CIS)と診断がつき、病気のことについてネットで検索しました

脱髄疾患の中でも、難病指定されている 多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎(NMOSD)の情報はあるのですが、第1回目の脱髄であるCISは人数が少ないこともあるのか、その後MSやNMOSDへと移行する可能性があるからなのか、あまり情報がありませんでした

脱髄は脳や神経の発生する場所によって、症状も様々だと思いますので、必ずしも わたしの体験と同じということは少ないかもしれません

それでも、病気と向き合う中、体や心、日常で感じることは似たこともあるのではないかと思います

もし同じような状況下にある方や、周囲で支える立場にある方々、病気の情報が欲しい方に この記事たちが何かのお役に立つことがあるなら こんなに嬉しいことはありません


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