【脱髄疾患CIS闘病記】第17話 自力で歩く!装具との別れ

リハビリ記
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やあ~!

現在は自力で自在に歩行が可能なわたし

装具が取れた日のことは今でも忘れられません

今日は足のリハビリのお話をしようと思います


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これはわたしの過去の体験です

ちょっとした物語と思って読んでいただければ幸いです


装具に馴染む


2020年12月初め


ベッド上での基本動作を自主練習する日々

リハビリの時間には

寝返り、起き上がる、座る、立ち上がる、車椅子に乗る

一連の動きを理学療法士さんの見守りと介助のもと行う

寝返りから立ち上がるまでは、自主練習の甲斐あってか、ほとんど自立してきた

だいぶ、動作に介助してもらう頻度は減っている

車椅子でホールへ移動し、長下肢装具を着けてもらう


装具を付けた状態で立つ練習

立った状態で、麻痺側の左足に荷重している感覚を入力する

体重や重力が加わった感覚

自覚的には地面を踏んでいる感覚は相変わらず感じ取りにくい・・・

だけど、左足にはこの刺激が毎日入力されている

この反復して荷重入力することで、安定して立つ感覚は分かりやすくなってきた

日に日に「0ポイント」と名付けた安定するポイントが分かりやすくなっている

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最初はバランスを上手くとれなくて、前で いつでも支えます!なんなら持ってます!という意気込み全開位置で理学療法士さんはスタンバってくれた

だんだんと理学療法士さんのわたしを支えるためのスタンバイ位置が後ろになっている

最近は後ろで軽く手を添えているだけのことが多い

それほど立つことに関しては安定してきたともいえる


両手はいつもバランスをとろうと少し上げた状態で保っていた

その手を太ももの横に添えて自然な立ち姿の位置に下す

両手を下しても怖さは無くなってきた


立つ感覚が安定してきたら、病室まで歩いて帰る

これも装具を付けた状態では足のふりだしはだいぶスムーズになってきた

初めは持ち上げてもらうに近かった理学療法士さんのサポートも、今ではすぐ横の支えられる位置で一緒に歩いてくれる

つまり、ほぼ自力で歩行している

あ、装具をつけた状態でね 笑

歩く速度も少しスピードアップしてきた


装具を装着した わたしが歩く

その横を 理学療法士さんが見守りながら歩く

その後ろを わたしに繋がった点滴と尿バッグを引き連れてイモコが歩く・・・

そんな病棟行脚が毎日繰り広げられた


* * *

今現在、自分で歩けるわたしになった

ここまで来るために

本当に沢山の方々にサポートしてもらったこと

わたしは一生感謝している

ありがとうございます


足の感覚の変化


ちょうどこのころ、足の感覚に変化が出始めていた


ステロイド大量投与の影響で血栓ができやすい状態だったわたし

ベッド上ではリハビリの時間以外、いつも下肢にフットポンプを装着している

空気の入った筒が足に巻かれていて、それが定期的に自動で空気が入ったり抜けたりする

つまり、足を締め付けたり、緩めたりして動かしてくれているのだ

ずっと寝た状態で、日常の動きはベッドが基本、しかも自分で思うように手足を動かせないという体での生活にはありがたい装置である


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そのフットポンプ

ステロイドパルス療法を始めたころからずーーーっと足に付いている


シュポーーー・・・

シュポーーー・・・


そんな音が常時部屋に響いているのだ



2020年12月4日

入院14日目


朝、目覚めてこう思った


ん???

足が締め付けられている???


なんと!

その日初めてフットポンプが動いている感触が分かったのだ!


何かが触っている感覚を認知する

いったん途絶えたこの感覚がまた再び戻ってきた!

驚きと興奮の朝だった


感覚が分からない中、装具の足で立つことはきっと良い感覚入力ができているに違いない

毎朝、体は子供たちや家族と思って皮膚を触っていることも感覚入力になっているだろう

毎日イモコは、触っているのが分からない姉に「ここ、ふくらはぎ」と場所を言いながら触ってくれたことも感覚と位置の認知には大いに助けられていたことだろう

神経は確実に入力した感覚を脳に送っているのだろう

なかなか繋がらないけれども何度も何度も入力することで新たな回路が繋がっていくのだろう


そんな、体の神秘さに感動して震えた朝だった


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自力で歩く


2020年12月5日

入院15日目


そんな変化が現れ始めたころ

常時手に付けていた、パルスオキシメーターが外れた

動脈血酸素飽和度と脈拍を測定するための装置で、リハビリ時以外いつも指先に挟んでいた


線だらけだったわたしの回り

一つ外れるだけでこんなにも快適

気持ちも軽くなる


少しずつ動きも出てきたし、感覚も戻りつつある

脊髄の炎症は落ち着いてきて、延髄まで達する危険性は回避できたということだろうか・・・

とにかく、血中の酸素濃度は保たれている

何かが外れるというのは良くなっているということだろうから嬉しい

手が自由になると自室での自主リハビリもやりやすい

ますますやりがいが生まれる


その日の足のリハビリの時間


「装具なしで歩いてみましょう」


理学療法士さんが言った言葉に耳を疑った


装具なしで???

歩けるだろうか・・・


でも、歩きたい!



いつものように、ベッドから立ち上がる

後ろでわたしを支える態勢で理学療法士さんはスタンバイ

装具を着けて歩いていた感覚をイメージする


大丈夫 大丈夫

歩ける 歩ける


そう自分に言い聞かせながら

一歩踏み出す


次の一歩は自然と足が出てくれた

やや重心を取るのが崩れそうになるがなんとかコントロールする

前に進む力が弱く、理学療法士さんが時折背中を押してくれる

推進力がつくと歩くリズムに乗り始める

誰かが支えてくれていると思うと、怖さは安心に変わる

距離が延びるにつれ、装具が無いことを怖いとは思わなくなってきた


どんどん進む

歩ける 歩ける


気付けば、病棟内を一周して部屋に戻ってきた


「途中 手を離していたんですよ」


理学療法士さんは、にっこりとそう言って手を上げる


つまり、わたしは

自分で歩けた!!!


後ろで支えてくれていると思っているから安心して歩いていたのだ

途中、その手を離していたと聞いても未だに信じられない

でも・・・


嬉しすぎる!!!


まさか、わたしが再び自分の足で一人で歩けるようになるなんて・・・

今日は車椅子も使わなかった

入院当初には考えも及ばなかったことだ


だけど、この手法、初めて装具を着けて一人で立った時にもあったような・・・笑


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病室に帰ってからは、テーブルを支えにベッドに座ったり、立ったりする動作の反復練習

わたしはリハビリ当初から体幹の機能が割としっかりしていたそう

だけれどそれはベッド上での話

立ったり座ったり歩いたり、荷重された状態では不安定さが目立つのだ

座る → 立つ → 歩く という一連の動き

続けて歩くことにつなげたい


理学療法士さんからこの日課題をもらった


立ち上がるときつま先重心

座る時かかと重心

前かがみお尻をゆっくりつける


重心をどこに置いているかなんて、動けている時には考えもしなかった

確かに、そのように動くと安定する

動きを一度分解して理解することは、わたしにとって新鮮な作業でもあり、ヒトが無意識に動く動作の複雑さに一つ一つ感心もした


今は一つ一つの動きを考えて意識しなければ動かせない

目標は、

意識下から無意識化の運動へ


くまままの挑戦は続く・・・



最後まで読んでくれてありがとう

今日も素敵な一日を


追記:わたしが脱髄疾患(clinically isolated syndrome:CIS)と診断がつき、病気のことについてネットで検索しました

脱髄疾患の中でも、難病指定されている 多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎(NMOSD)の情報はあるのですが、第1回目の脱髄であるCISは人数が少ないこともあるのか、その後MSやNMOSDへと移行する可能性があるからなのか、あまり情報がありませんでした

脱髄は脳や神経の発生する場所によって、症状も様々だと思いますので、必ずしも わたしの体験と同じということは少ないかもしれません

それでも、病気と向き合う中、体や心、日常で感じることは似たこともあるのではないかと思います

もし同じような状況下にある方や、周囲で支える立場にある方々、病気の情報が欲しい方に この記事たちが何かのお役に立つことがあるなら こんなに嬉しいことはありません


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