【脱髄疾患CIS闘病記】第26話 左手と右手の変化

リハビリ記
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くまままです

気持ち新たに、闘病記・リハビリ記の続きを綴ります


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これは、わたしの過去の体験です

ちょっとした物語と思って読んでいただければ幸いです


深部感覚訓練中の左手の変化


2020年12月9日

入院19日目


病室でいるときは、自主的に手のリハビリをしている

麻痺側の左手をさする、

タオルを使ってワイプ、

お手玉を掴む、

新聞まるめ、

カップの移動、

スポンジにぎにぎ、などなど・・・

貸し出してもらっている道具たちを使い

ベッドの上で黙々と

毎日繰り返している動きに加えて、

作業療法士さんお手製のボードを使い

深部感覚の訓練も加わっている


付き添いに来てくれているイモコにボード上の数字を言ってもらう

目を閉じて、指定された数字の位置まで

麻痺側の左手を動かす


まだ数字の上にピタリと止まることは少ない

けれど回数を追うごとに、

指定された数字の位置に近づいている感覚がある


に移動するのは、わりと得意

ここだ!と思って目を開けても

左と下移動したときはかすってもいない 笑


感覚が実際の位置と大きくずれている

繰り返していると、自分の動きの癖があることに気付く


これを改善するには・・・

感覚のずれを修正していくほかない


へ移動するのは、思っているよりもやや左下へ

へ移動するのは、思った位置よりもうちょっと長く

くらいでちょうど良い位置へいくことがわかる


感覚を掴むのは難しい

けれど、とてもやりがいがある

もっと正確に、思う位置に持っていけるようになりたい


未知の身体を扱えるようになるために

新しい感覚を入力し続けるだけだ


温度と痛みを感じない右手の変化


それは、清拭の時に気が付いた


長い間点滴が入っていた右手の血管

その近くを拭くと「痛い」と思った

痛みを感じなくなって以来、

初めて「痛い」と思った


まだ鈍い感じ方

まだ少しの感じ方

でも、ちゃんと「痛い」と感じることができた


これ、もし以前と同じように感じとれたら

本当はもっともっと痛いのかもな・・・

「痛み」がわかるのは嬉しい、

けれど、まだひどく痛くない今も有難いな・・・

なんて同時に思ったり 笑


お湯を触った

「温かい」と思った


冷えたお手拭きを触ると

「冷たい」と思った


右手の「痛い」「あつい」「つめたい」

感覚が少しずつ戻ってきているようだ

感じとれることなんて

以前は当たり前のこと

だけど、これがすごい!と思う

うれしい


一人で過ごす夜のための準備


病院でわたしに付き添ってくれているイモコ

病室の小さなソファベッドで寝てくれている

夜中にわたしが起きると、一緒に起きて助けてくれる

細やかに身の回りのことを気遣ってくれる

本当にありがたい存在だ


そんなイモコは今夜、用事で家へ帰る

イモコがいない

つまり、わたしは一人で過ごすのだ


「ナースコールがある

 看護師さんがいる

 だから心配は無用だよ」


そう言いつつも、

以前の寝たきりではなく

少し動けるようになり

ポータブルトイレで用を足している


夜一人でポータブルトイレへ座るための準備と心構えをイモコと確認する

ポータブルトイレはベッドサイドの右側へ設置してもらった

ベッドから起き上がり、便座へ座るまで何度かやってみる

自分では大丈夫な気がする

イモコに見てもらい、まあなんとか大丈夫かなという反応をもらう

よし!


イモコには安心して帰ってもらいたいと思う

イモコと約束したこと

●ゆっくりすること

●ナースコールを押すこと

●自分でしようとせず、きちんと頼ること

忘れないようにしようと思う


友人がリンゴを届けてくれたそう

気遣いに、優しさに、想いに温かくなり元気をいただく

面会が出来ない、会えない

だから余計に祈ってくれていることが伝わって何とも言えない気持ち

「ありがとうございます

 がんばろう」


会いたい人に、笑顔で会える

そんな日を想像する

今できることを精一杯やろう

そう思いながら置かれたリンゴを見た

ほんのり赤くて笑っているように見えた


つづく


追記:わたしが脱髄疾患(clinically isolated syndrome:CIS)と診断がつき、病気のことについてネットで検索しました

脱髄疾患の中でも、難病指定されている 多発性硬化症(MS)、視神経脊髄炎(NMOSD)の情報はあるのですが、第1回目の脱髄であるCISは人数が少ないこともあるのか、その後MSやNMOSDへと移行する可能性があるからなのか、あまり情報がありませんでした

脱髄は脳や脊髄の発生する場所によって、症状も様々だと思いますので、必ずしも わたしの体験と同じということは少ないかもしれません

それでも、病気と向き合う中、体や心、日常で感じることは似たこともあるのではないかと思います

もし同じような状況下にある方や、周囲で支える立場にある方々、病気の情報が欲しい方に この記事たちが何かのお役に立つことがあるなら こんなに嬉しいことはありません


最後まで読んでくれてありがとう

今日も素敵な一日を


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